背景はめんどくさい
先日、CLIPSTUDIOにアップデートで「パース定規」が導入されました。
二本線を引くだけで消失点を作成し、定規変更無しに平行線・垂直線もひける優れものです。
デジタル作業での背景製作がまた1つ楽になりました。
それでも背景はめんどくさい
コミックマーケットで頒布した漫画『純蒸パイルバンカー』には、背景を書き込んでるコマが多数ありました。


ネームや下書きの段階では「しっかり描きこんでやるぞ」と意気込むものの、締め切りが近づくにつれ
その意気込みが自分の首をしめていきます。
時間が無いけど、建物はそれなりに描きたい・・・
そんな時に、あらかじめ作っておいた”素材”が役に立ちました。
半年ほど前に、「スキマ時間を有効的に使うぞ!」と息巻いて作業の合間にちまちま作っていた”窓”や”扉”
結局三日坊主で終わってしまっていましたが、その時作った素材のおかげで、なんとか締め切りに間に合わせることができたのです。
そういうわけで、今回はCLIPSTUDIOの素材登録機能の紹介です。
CLIPSTUDIOで素材を作る
●素材を作る
とにかく作ってみましょう。テキトーでOKです。テキトーで。
大きさもテキトーでOKです。
大きすぎると面倒なので、「これくらいのサイズで使いそう」くらいで作って大丈夫です。後から作り直しもできるしね。
ラスターレイヤーでも十分簡単にできるのでこっちでやっちゃいます。

真正面から見た図を、図形ツールを使って適当に作ってみます。
適当には作りますが、「説得力のある形」にしたいので、写真や資料は見て作ります。
建築物の様々な部分に使われる「黄金長方形」を素材登録しておくと、色々使えて便利ですよ。

さて、窓を作ってみました。
西洋の建物にあるような気がする、観音開きの窓です。
では、この窓を素材登録してみましょう。
●素材を登録する
素材登録の前に、自作素材用のフォルダーを作っておきます。
素材パレット上で右クリック「新規作成」で任意の場所に自作素材用のフォルダーを作ります。
名前は適当に「自作」
フォルダーを作成したら、先程作った素材を登録します。

レイヤーを統合して、1枚のレイヤーにまとめます。

統合したレイヤーを選択し、メニューバーの「編集」から「素材登録」「画像」をクリック

「素材のプロパティ」ウィンドゥが出てくるので、素材名を入力し、素材保存先を先程作成したフォルダーに指定。
「検索用タグ」も設定すれば便利なのかもしれないですが、自分は使ってません。
必要事項を入力したら「OK」で素材登録完了。

素材パレットで確認してみると、確かにできてます。
これで素材登録ができました。

レイヤーフォルダーを選択して素材登録することで、素材を読み込んだ時にフォルダーとその内部のレイヤーを
複製することができますが、不必要にフォルダーが増えるのも嫌なので大量に配置するような素材は
統合して1枚の画像として登録しちゃってます。
作った素材を活用する
登録した素材を使ってみましょう。
といっても使い方は簡単で、素材パレットからドラッグ&ドロップしてくるだけ。
あとはこの素材を変形させたりして、背景に落とし込んであげます。
●拡大縮小・自由変形
縮小・拡大で大体の大きさに合わせ、自由変形で面に合うように変形させます。
基準になる線を描いておくと楽です。

●線修正
「線修正」ツールで線の太さを調整します。
ベクターレイヤーでなくとも、このツールで線が調整できるので非常に楽です。

●描き込みで説得力を補強する
素材を張っただけだと、どうしても張りました!感が出てしまうので、
可能ならひと手間加えて描きこんであげます。
側面を描くだけで格段に見栄えが良くなります

ちょっと応用
『純蒸パイルバンカー』の作画にあたっては、時間が厳しくなるというのは予想済み(いつも厳しくなるので)だったので
実は前もって建物自体も作っていました。

汎用的に使えるような長方形の建物です。
長方形を適当に描いて素材化した窓を配置してあれこれ付け足しました。
並べるだけでとりあえず簡易背景

変形を使えばナンチャッテ立体建物も作れます。

こんな感じで、背景製作の各所で自作素材が役に立ちました。
まとめ
以上、楽するための素材製作でした。
わざわざ沢山の素材を作ろうとしなくても、窓を1つ作っておくだけでも格段に楽になります。
今回は建物のパーツでしたが、「素材登録」機能を使えばオリジナルブラシの作成や、
コマ割りのパターン登録等もできてしまいます。
それらの紹介はまた別の機会に。
記事内でとりあげた『純蒸パイルバンカー』は「マン×ガレ」プロジェクトの第一弾として描いた漫画です。
「マン×ガレ」については上記記事で詳しく説明しています。
現在は次のワンダーフェスティバルに向けてガレージキットの方を改良中です。
製作過程はTwitterや当HPに改めて掲載予定ですので、お楽しみに。
それでは、より快適なお絵かきライフを!
