先日公開されたクリストファー・ノーラン監督最新作『TENET』
ご覧になりましたでしょうか!?
「時間を逆行する」という新しい映像表現のノーラン味の濃い映画でしたね。
今回は時間をテーマ・モチーフにした作品の中から、個人的に好きなものをいくつか紹介致します。 TENETを観た人にも観てない人にもおすすめです。

『デジャヴ』
2006年2月28日、ニューオリンズのカナルストリートで543名もの犠牲者を出す大規模なフェリー爆発事故が発生した。
現場を捜査した結果、爆発はテロによるものと判明。そして、爆発現場の近くで発見された女性の死体が殺人によるものだということも判明する。
アメリカ連邦捜査機関ATFのダグ・カーリンはFBI特別捜査班への協力を要請されれ、”スノーホワイト”と名付けられた謎の監視システムの映像で事件を追うこととなる―
『TENET』の主人公「名も無き男」を演じるジョン・デヴィッド・ワシントンの父、デンゼル・ワシントン主演のサスペンス映画。 親子揃って変わり種のタイムスリップ映画の主演を演じるとは、これもまた時のいたずらなのでしょうか。
デンゼル・ワシントン、『サブウェイ123 激突』『アンストッパブル』『イコライザー』等の作品のおかげでいつも渋い顔しながらテロリストみたいな連中と戦ってるイメージです。
個人的に命の危険を感じるから同じ空間にいたくない俳優2位です。1位はリーアム・ニーソン。ブルース・ウィリスは助けてくれそうだからランク外。
「時間」が関わってるというのは半分ネタバレなんですが、 過去との関わり方はよくあるタイムリープやタイムスリップとは少し違う捻られた設定が光ります。
『ミッション 8ミニッツ』
アメリカ陸軍パイロットのスティーブンス大尉が目を覚ますと、そこはシカゴ行き通勤列車の中だった。
しかし周りの光景にも、自分に話しかけてくる同席の女性にも全く見覚えがない。
鏡に映る自分の顔も別人であり、所持していた身分証には教員ショーン・フェントレスと書かれている。
そして8分後、列車は大爆発を起こして乗客は全員死亡してしまうが―
別人の記憶を見ることで過去を疑似的に体験するという少々変わったタイムリープ作品。
「繰り返される悲劇」「少しずつ好転する状況」「避けられない結末に対する諦観」「状況を打開するカタルシス」というような タイムリープ作品のツボを押さえつつ、SFサスペンスとしても面白い傑作です。
『オーロラの彼方へ』
勇敢な消防士だった父フランクを幼い頃に亡くしたジョン。
父の死から30年後。刑事となった彼は、父が愛用していた無線機を発見する。NYの上空にオーロラが現れる中、ジョンは無線の向こうから死んだはずの父が呼びかける声を聞く―
タイムリープ作品の名作と言えば『バタフライ・エフェクト』かと思いますが、
「過去を変えたことで現在に悪い変化が起きてしまって―」という話のくくりでいくと、個人的にはこちらの作品の方が好き!
もう一度家族と再会するため、過去と未来の2つの時間で父と息子が奮闘するストーリーは
SF作品としてもドラマとしても最高です!
『メッセージ』
ある日突然、地球上の12箇所に謎の飛行物体が出現し、世界中が突如騒然とする。
言語学者の第一人者として名高い女性ルイーズは異生物の言語らしき音声の解読をアメリカ軍から依頼される。
ルイーズは生物学者のイアンと共に、謎の物体やその中に住む生物の目的を探るべく、異生物との接触を試みる。異生物の言語を研究していくにつれて新たな事実が明らかになっていき、次第に不思議な感覚を覚えていくルイーズ。彼らの目的は一体何なのか―?
比較的最近の作品。
『アド・アストラ』のような静かな長編SF映画です。
これも「時間」が関わってるというのは半分ネタバレになってしまうのですが、 時間がどう関係してくるかというのがこの映画の見所。
劇場公開から約3年、米中新冷戦の分断された世界になってしまった今、映画終盤の展開に考えさせられるものがあります。
『プリデスティネーション』
ニューヨークを震撼させる連続爆弾魔を追う男。彼は未来から来た時空警察のエージェントだった。時空を超えた壮大な旅と因果の果てに、忌まわしき真実が待ち受ける。
あらすじだけを追うと、犯罪者を追い時を駈ける、アクションSF映画のようにも感じますが、全然違います。
本作は爆弾魔を追う中で、とある人物に纏わる真実を解き明かしていくミステリー作品です。
時間がテーマの作品は、 全ての出来事が1つの未来に収束する、なるべくしてなる運命論(決定論)的な話か、 確定した未来を脱却する脱運命論的な話かに大別されると思っています。
後者は運命に打ち勝つというカタルシスがあり、 前者はどこかニヒルな(あるいは残酷な)空気が作品を満たしているように感じます。
さて、この作品はどっちなのか。
運命の中で藻掻こうとする人物と、彼(彼女?)が行きつく結末を是非ご覧ください。
『タイムシャッフル』
フィン、キャリー、ジャスパーの3人は、ルームシェアをして暮らしていた。
ある日、キャリーは大家からの電話で「向かいの家の家賃が遅れているから見に行って欲しい」と頼まれる。
しかし、その家の主は不在で、部屋には巨大なカメラのような装置と大量の写真が。
向かいの家―3人の住む家に向けられたカメラは、なんと未来を映し出すカメラだったのだ―
未来を映すカメラを巡る、男女3人の昼ドラ的サスペンス。どちらかといえばB級っぽい感じの映画なのですが、妙に気に入っています。
「ルームシェアする男女3人が、未来を映すカメラがを手に入れる」という「よくある設定に、不思議アイテムを放り込むと何が起きるか」的なアイデア一発勝負の作品は大好きです。世にも奇妙な物語を楽しむ雰囲気に近いかもしれません。
『パラドクス』
犯人とそれを追う刑事
ビルの非常階段に閉じ込められてしまう。
旅行に出た家族
旅の途中の荒野の一本道に閉じ込められてしまう。
彼らは自分達に何が起こったかも理解できないまま、永遠に続く道(階段)で過ごすことになってしまう。
最後は大好きなスリラー作品を。
地中の棺桶に閉じ込められる『リミット』、真冬のスキー場のリフトに取り残される『フローズン』 、人食いサメに追い込まれ海に囲まれた岩場に閉じ込められる『ロスト・バケーション』等、 「脱出不可能の空間に閉じ込められる」というスリラー映画は多々ありますが、そこに独特なSF設定を追加したのがこの作品。
延々とループする謎の空間に閉じ込められ、何十年もの時を過ごす・・・。 考えただけでもゾっとします。 そんな残酷な時間の経過を醜くショッキングに描いているところが、ホラー好きとしてはたまりません。
独特な哲学混じりクライマックスも、アラサーになって考えさせられる内容になっています。
とりあえず、何歳になっても運動は欠かさないようにしようね。
『時をかける少女』や『ジュブナイル』『シュタインズ・ゲート』等の作品のおかげで、個人的にタイムリープ作品・タイムスリップ作品といえば、なんとなく夏っぽいイメージがあります。
なんて思っていたら夏が終わり、あっという間に冬の香りが漂ってきました。
光陰矢の如し、あっという間に時間は過ぎて行ってしまいます。
限られた時間の中で、1つでも多くの面白い作品に出合えますよう、願っています。