コンテンツは掛け合わせる時代です。
「グルメ」だけでも「スポーツ」だけでも、「ファンタジー」だけでも成り立たない時代になってしまいました。
ホラーも同様です。
「青春」が乗っかった『IT』(原作は古いけどね)
「宗教」が絡む『ヘレディタリー』
「社会問題」を巧みに織り込んだ『ゲットアウト』『アス』
等々・・・

そんな中、純然たる「恐怖」だけでぶん殴ってくれる傑作がアルゼンチンからやってきました。

謎解き?呪いの根源?
恋愛?青春?人の心?
そんなもの知るか!!
ホラー映画は恐けりゃええんじゃ!!

■■あらすじ

舞台はブエノスアイレスのる住宅街。
ポルターガイスト、謎の声、少年の死・・・
頻発する怪現象の謎を解明すべく、
刑事と超常現象研究家が問題の住宅街へと乗り込む!
しかし、そこに潜んでいたものは彼らの想像を遥かに上回っていた―!!

■■みどころ

●静動の揺さぶり

物語後半、怪異の原因を究明すべく住宅街に乗り込んでからの揺さぶりがとにかくすさまじい。
正体不明の怪現象も、チラチラ見えてんな~と思いきやババンと登場。したと思いきやなかなか姿を現さない・・・
オバケが出てても出てなくてもこちらのHPをゴリゴリ削ってきます。

気が滅入るほど陰鬱な展開と画作りで観てるだけで部屋の湿度が上がりそうな『湿地』や
霧がかった画面と全く掴めない事件のおかげで観てるだけで窒息させられそうになる『ゴーン・ガール』が思い出されます。

●見せ方に魅せられる

ホラー演出は「溜め」と「出現」がキモです
「出現」はビジュアルや音でぶん殴るように驚かし、
「溜め」は出るぞ出るぞ・・・!という雰囲気で首を絞めるようにギチギチと恐怖を煽ってくれます
この「溜め」の演出が実にバリエーション豊富!
ホラー演出の見本市かという程です。
・正体不明の何かが隠れるクローゼット
・隙間の奥に蠢く何か
・「部屋の前に誰かいるぞ」「誰もいない」電話での会話
・片方の窓からは見えるけど、もう片方から見ても何もいない
・カメラの録画画面にだけ映る何か

「出現」の見せ方も豊富で、映画ド頭から度肝を抜かれます。
最近では『IT イット THE END』が非常に豊富な演出でお化け屋敷一生分くらい楽しませてくれましたが、『テリファイド』も負けてません。
濃縮された恐怖を短い時間でアホ程楽しめますよ。

■■感想

とはいえ、所々荒いと思う作品です。
結局それはどうなったんだ!?という点も多く、満足できない人もいるかもしれません。
恐怖の正体に一貫性を求める方、「敵」の正体究明の様を楽しみたい方なんかは特にそうかもしれません。

しかし、恐怖演出の幅と強さは一級品。
ホラーとは恐怖なのだということを今一度教えてくれ
腑抜けた視聴姿勢をバチっと正してくれる、そんな一本でした。

アルゼンチンの今後のホラー映画に期待です。
一時間半でサクッとドロっと怖がりたい方はぜひ一度ご視聴を。