我々が造形物をつくるときは、特に複雑な形状をしているものは、主に粘土で原型を制作します。

ただ、粘土で原型をつくると、そのまま作品にはしづらいものなのです。粘土が時間とともに乾燥してしまったり、そもそも強度が出ない等の理由ですね。

そこで、粘土からプラスティックなどに置き換えるわけですが、そこで必須なのが「型どり」です。

型どりにも様々な方法があるんですが、今回はオーソドックス且つ比較的安価な石膏で型どりをする方法を紹介します。

ちょっと画像が足りない部分があるのですが、イマジネーションで補ってください。

ではまず! 準備物!

・粘土原型

 型取りしたい粘土原型ですね。ちなみに水粘土でも油粘土でもどちらでもいいです。

 ちなみに今回のモデルになるのは造形工房QunQunのオリジナル怪獣「ベジラ」の腕でございます。

・切金

 型を分割するための真鍮製の薄い金属板

 薄口と厚口があります。薄口の方が当然型に与える影響が少ないですが、厚口の方が使いやすい印象があります。

 今回の参考例では、なんと下敷きでございます。

・石膏

 いろんなタイプの石膏がありますが、硬すぎるとプラスチックに置き換えた後割りづらいので市販品の工作用とかで大丈夫です。

・金属ボウルorシリコンボウル

 金属製のボウルを使う場合はあらかじめ自動車のボディに塗るワックスを薄く塗っておくと石膏で汚れにくくなります。

 シリコン製のボウルは何も塗らなくても石膏がキレイに剥がれます。

・リンレイブルーワックスorカリ石鹸などの離型剤

 石膏型の分割に使います。ワックス系でも石鹸系でもどちらでもいけます。

 個人的には他でも使い道の多いリンレイのブルーワックスを使っています。

・ゴムベラ

 某百均のものを愛用しています。持ち手とヘラ先が一体になっているタイプが使いやすいです。

・スタッフ(サイザル麻)

 麻の繊維で作られた補強材。鳥の巣みたい。

・筆や刷毛

 基本的に使い捨てになってしまうので、安いもので大丈夫です。

・針金or大きめのクランプ

 針金を使う場合はペンチも必須です。大きめのクランプはちょっとお高めなので僕は使っていません。

・養生用の新聞紙orビニール

 お部屋が汚れないようにするためには必須です。ガムテープや養生テープもあると便利。

Let’s型どり

まず最初に、部屋が汚れないように養生しましょう。

新聞紙やビニール等で床や壁を養生します。

粘土原型を支えている芯などにもビニールを巻いておくと便利です。

1.粘土原型に切金を挿す

 型を分割したいところに切金を挿していきます。

 切金を5~10㎝程度に切り分けて、1㎝程度重ねつつ順に丁寧に挿していきます。

 切金同士をマスキングテープで留めておくとよりよいです。

2.石膏をかける

 石膏を水で溶きます。

 一般的には石膏:水は1:1の分量で溶かします。

 でも毎回量を量るのは面倒なので、以下の方法を使います。

 ボウルに水を入れ、石膏を少しずつ水に入れていきます。このとき途中でかき混ぜてはいけません。水面と入れた石膏がだいたい同じ高さになったらOKです。

 そうしたら石膏を水をかき混ぜます。が、ゴムベラなどで切るように混ぜます。

 これで水溶き石膏ができます。

 気温や石膏の質にもよりますが、かき混ぜから10分程度で硬化が始まります。

 粘土原型に石膏をかけます。

 筆や刷毛でちょんちょんと石膏をかけてもいいですし、指先に石膏をつけて指で弾いて飛ばしてもいいです。指先の方は周囲も汚れるし、無駄になる石膏も出てきますが、勢いよく石膏をかけられるので、細かいところまで石膏が入り込んだり、より石膏が原型に密着したりして、繊細なディテールまで型取りできる気がします。 

 全体を満遍なく石膏で覆ったら、硬化するまで待ちます。

3.石膏を盛る

 次は石膏を厚くします。

 先の要領で水溶き石膏を作ります。

 そして、すぐにはかけずに待ちます。

 だいたいヨーグルトくらいの固さになるまで待ちます。より具体的にはゴムベラですくったときに垂れない程度です。

 たまに確認をしないといつの間にか固くなりすぎてしまうことがあるので、確認を怠ってはいけません。

 良い感じの固さになったら、石膏を原型にゴムベラですくって覆っていきます。

 厚みの目安は切金と同じくらいの高さです。

 また、空気が入らないように気をつけて石膏をかけていきます。

 全体を覆ったら、石膏が硬化するまで待ちます。

4.スタッフで補強する

 これはあってもなくてもいいこともある工程です。この工程の目的は型の補強です。

 細長い型や面積の大きい型は割れやすいので、この工程の効果が絶大です。

 スタッフを適度な大きさにし、水溶き石膏に浸し、すぐに原型にくっつけます。

 石膏にスタッフを絡めることで強度を得るわけですね。

 スタッフで全体を覆います。

 また石膏が硬化するまで待ちます。

5.粘土をかき出す

 石膏が完全に硬化したら、型そのものはできています。が、まだ中に粘土原型が入っていますので、その粘土をかき出します。

 型を切金に沿って分割します。

 マイナスドライバーやスクレーパーなどの丈夫な薄い金属を切金を挿した部分に挿しこんで型を外します。

 ポイントとしては、一部分を重点的に行うのではなく、全体を少しずつ浮かせていくことです。

 その際、型が割れないように慎重に行います。もし多少の欠けが出てしまったら、後で直すので欠けたパーツはとっておきましょう。割れたパーツは瞬間接着剤などでくっつけます。

 粘土を型から完全に取り除いたらOKです。

6.型を閉じる

 中が空洞になった石膏型ができたので、針金やクランプを使って型を閉じます。

 この後、何を流し込むかで型を乾燥させたり、乾燥させなかったりします。

 乾燥させたくない場合は、ビニール袋などに包んでおくとよいでしょう。

と、以上のようにして、石膏の型ができるわけですね。

その型からプラスティックにしたり、ゴムにしたりできるのです。