暑い暑い夏がやってきました。

長い梅雨が明けたと思えば、途端に暑苦しい日々が始まりました。皆様、夏バテなどなっていないでしょうか。

PrimeVideoも本気を出してきております。
TRIGGERの放つアツいアニメーション『プロメア』、 池井戸潤の名作小説を映画的に再構築した傑作企業サスペンス『七つの会議』 等々、名作・大作の公開が続きます。

香川照之も出るぞ。100倍返しだ。

そうじゃないよ

ホラーだよ!!

夏といえばホラー!!
昼間の暑さが残る夏の夜。シャワーで汗を流した後、冷たいアイスを食べながら、ホラーを観ようじゃありませんか。じめりと湿った嫌な汗を流そうじゃありませんか!!

というわけで、今回はAmazonのPrimeVideoで観ることのできるホラー作品を紹介していきたいと思います。

残穢

畳を擦る音が聞こえる、
いるはずのない赤ん坊の泣き声がする、
何かが床下を這い廻る気配が……。
だから、この家には人が居着かない。
何の変哲もないマンションで起きる怪異を調べるうち、
ある因縁が浮かび上がる。
迫りくる恐怖は、どこまでが真実なのか。
──衝撃のドキュメンタリー・ホラー!
出典:新潮社小野不由美「残穢」特設サイト
https://www.shinchosha.co.jp/zang-e/

最初に紹介するのは、最早引っ越しのバイブルと化した新時代の土着ホラー

・・・ブログで既に過去2回も取り上げております。 詳しくは過去の記事で。

過去の記事はこちら

鬼談百景

豪華監督陣が送るホラー・オムニバス

残穢のスピンオフ作品。
『残穢』の主人公、ホラー作家である「わたし」のもとに届いた恐怖体験談を映像化したというオムニバス形式の作品となっております。

原作小説は100の会談を収録した「百物語」の体裁を取っており、その中から10の物語が本作で映像化されています。 (正しく言えば、原作小説に収録されている話の数は99。100個目の怪談話が『残穢』にあたる・・・という構成になっています)

短編を手掛ける監督陣は非情に豪華。 『残穢』も手掛けた中村義洋監督、 『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズや『貞子vs伽椰子』を手掛けた白石晃士監督、『ほんとにあった!呪いのビデオ』シリーズ(自分が特に好きな55を手掛けたのもこの監督。)や『心霊玉手匣』等を手掛けた岩澤宏樹監督、等々、僕の大好きな監督陣が名を連ねているのもたまりません。

海外では『V/H/S』シリーズや『A・B・C・オブ・デス』『サウスバウンド』といったホラーオムニバス作品がいくつか見ることができますが、日本でももっと作ってほしいですね~

『世にも奇妙な物語』や『ほんとにあった怖い話』なんかのTV番組はありますが・・・

回路

真の恐怖は死ではなく、孤独

ある日それは、何気なく、こんな風に始まったのです―

職場の同僚の自殺。
その事件から、ミチの周辺では奇妙な現象が多発する。
人々が黒い影を残し、消失してしまうのだ。

一方、大学生の亮介はネット上で噂になっていた「幽霊に会いたいですか」と問いかける謎のサイトにアクセスしてしまう。

静かに、だが確実に、私たちの日常は侵食され始めていた

『CURE』『叫』等でカルト的人気を持つ黒沢清監督の名作の1つ。
やや掴みどころのない、カルト風味全開で好き嫌いが分かれる映画です。

誰が生きている人で、誰が幽霊なのか。誰が生きていて誰が死んでいるのか。 生と死の境界が曖昧になるような、そして「死」の先にある真の恐怖を ぐにゃり、ふわり、と描くような、言葉にしづらい体感としての恐怖を味わうことができる作品です。

全体的にぼんやりと薄暗い画面が、境界の曖昧さをより一層引き立てます。 古いホラー映画のこの、じめっとした湿度のある画面っていいですよね。夏を感じます。

インターネットやパソコンが物語の核として登場しますが、2001年の映画だからこその恐怖、とでも言いましょうか。PCの画面も今ほどクリアでないし、PCやネットといったものも多くの人にとっては「よく分からないもの」だった時代だからこそ、この不明瞭な怖さが出たのではないでしょうか。

血を吸う粘土

人食い粘土に込められた芸術家の夢とは・・・!?
愛すべきB級粘土ホラー

造形からにじみ出るB級感。愛しくてたまんねえです。

とある小さな美術専門予備校。

香織は東京から転入してきたが、彼女の実力を感じた他の生徒は東京と地方の格差を感じ、受験に向けた学習環境や講師に不満を抱き始める。

ある日、香織は倉庫に保管されていた水粘土の粉を粘土に戻し、課題の制作に使ってしまった。それが、怨念の籠った悪魔の粘土であることも知らずに―

この辺で少々箸休めを・・・。 2017年に現れた、ナイスなB級ホラー映画です。

美術ホラーといえば、現代アート界に群がるカネの亡者達が美術作品に虐殺される快作(?)『ベルベット・バズソー』を思い浮かべます。 あちらが米国の華々しいアートシーンを舞台にしたことと対照的にこちらは暗~くて地味~なところが舞台。

『ベルベット・バズソー』は過去の記事でチラリと紹介しています

美大を目指す学生が通う小さな美術塾を舞台に、謎の「人食い粘土」が大暴れする・・・物語全体に影を落とす鬱屈さが、なんというか、とても日本的。荒唐無稽なラストシーンも、なんというか「ああ、日本だな」と思える 不思議なB級ホラーでした。

―え、続編あるの?

こどもつかい

清水崇監督!重いテーマ!
恐くないわけが・・・あれ?

連続不審死事件を調べる新人記者の主人公。
被害者の大人達の死の直前に、その大人達に関わった子どもらが失踪していることに気づき、「こどもの呪い」なる噂を耳にする。
事件を追ううちに、「こどもつかい」という謎の男に行きつくが―

監督脚本を務めるのは、Jホラーの巨匠清水崇。あの『呪怨』を撮った監督です。そして作中描かれるのは、 児童虐待という目をそむけたくなるような重く湿ったテーマ・・・
それなのに、何故か全く恐くない。
多少ビックリするシーンはあるものの、本当に全く恐くない。

タッキー扮する謎の男「こどもつかい」の風貌が ファンタジーすぎて、一切の恐怖を全て中和してしまっているのです。 ここまで恐くないのはもはや奇跡。
逆に一見の価値ありです。
あと小物が安っぽい!

ほんとにあった!呪いのビデオ

Jホラーの裏の立役者   投稿ホラーの原点にして頂点!

おわかりいただけただろうか・・・

で有名なあのシリーズ。

「心霊現象」が映った映像を一般投稿で募り、その内容を検証するという疑似ノンフィクションのオカルトホラー作品
『封印映像』『闇動画』『ほんとに映った!監死カメラ』『NotFound』等々、今ではピンからキリまで大量な作品が出回っている「視聴者投稿型ホラー」作品の原典であり、確かな恐怖度とエンタメ性を持ち合わせ、ジャンルの頂点に君臨し続けるシリーズでもあります。

その歴史は1999年に遡ります。 初期シリーズはVHSで販売していた・・・と言えば歴史の深さが分かるでしょうか。「呪いのビデオ」だから当然なのですが・・・
先日、最新作『ほんとにあった!呪いのビデオ89』がリリースされました。

『鬼談百景』で挙げた中村義洋監督鈴木謙一監督岩澤宏樹監督白石晃司監督等々、多くのホラー監督を輩出した名門という側面もあります。 平成仮面ライダーが俳優の登竜門と呼ばれるように、ほん呪はホラー監督の登竜門と言えるのではないでしょうか。

PrimeVideoでは、現在1~20の初期20作品が視聴可能です。
初期のナンバリングでは地味な映像も多いですが、VHSの映像特有の生々しさがあります。基本的に話の繋がらないオムニバス形式なので、どの作品から見ても問題ありません。
とりあえず、PrimeVideoで観れる中では最も新しい『ほんとにあった!呪いのビデオ20』から観てみてはいかがでしょうか。

怪奇蒐集者

一流の怪談師達による一級の怪談話を堪能あれ

予告映像等が無かったので、画像で失礼

日本のホラーといえば映画ばかりではありません。
怪談話があるのです。

稲川淳二氏を思い浮かべる方も多いかと思います。その口ひとつで恐怖をふりまく一流の怪談師の語りを収録したのが本シリーズです。

各巻につき1人の怪談師が登場し、約90分、怪談話をたっぷりと聞かせてくれます。

個人的なおすすめは村上ロック氏国沢一誠氏
耳心地が良く聞きやすい語り口で、変な抵抗感を感じることなく怪談を堪能することができます。 村上ロック氏は俳優業も行っており、『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズにも登場しております。

来る

人の闇、未知の怪異、霊能力バトル
ホラーの枠を超えたエンタメ映画

田原秀樹は愛する妻と幼い娘を持つサラリーマン。
子煩悩で愛妻家、お調子者で人気者。
幸せの絶頂にいた彼の身に、怪奇現象が降りかかる。
会社の同僚や愛する家族にまで危害が及ぶようになり、
困窮した田原は、藁にも縋る思いで、知り合いから紹介されたオカルトライター野崎に原因究明と解決を依頼する。
野崎は、霊媒師の血を引くキャバ嬢比嘉真琴と共に調査に乗り出すが―

最後はPrimeVideoで先日配信開始された最近の作品を。

原作は澤村伊智の小説『ぼぎわんが、来る』。 映画版は前半の大筋は原作通りに、後半の展開や
怪異(原作での「ぼぎわん」)の正体の取り扱い方、物語の描き方等々 色々な部分に変更が加えられています。

本作を手掛けるのは『告白』で名をはせた 中島哲也監督。 原作の面白さはそのままに、監督特有のポップな描写を奇妙に織り交ぜる独特の演出は今まで経験したことのない角度で恐怖心をえぐりたててくれます。

原作小説はホラー作品でありながら、登場する人々の描かれ方(端的に言えば善か悪か)が二転三転する様はあまりにも見事。 映像化されたことでそのあたりのトリックの描き方が変わり、やや露骨になってしまった感じもあるので、できれば原作小説を先に読むことをお勧めします。

では映画が下位互換かと聞かれればそんなことは無く、死者や霊能力者達の存在が魅力的に描かれています。 ラストシーンの超絶大祈祷バトルは賛否両論あるものの、一見の価値アリです。

強力な霊能力者が出てくる展開や、視聴者を突き放したようなラストシーンといった共通点から「豪華な『カルト』」と評する人もいるとかいないとか。

『カルト』についてはこちら。

いかがでしたでしょうか。
PrimeVideoには『呪怨』シリーズや『リング』シリーズといったメジャータイトルも目白押しですが、それ以外のホラー映画も沢山あるんです。
冷夏の噂もどこへやら・・・暑い夏が襲い掛かってきますが、ホラー作品を見て涼むというのも一興ではないでしょうか。