『ウォッチメン』はこんな作品

スーパーヒーローが現実にいたら、世界はどう変わるのか
国はどう動くのか
そして、米ソ冷戦はどう終結したのか―

そんな「ヒーローが現実にいたら歴史はどうなるのか」というのを深く掘り下げつつ、かつてのヒーロー達の内面を描くことで哲学的にも文学的にも最高の傑作となったのが原作『ウォッチメン』!!
今や「アメコミの聖書」と呼ばれる程!

ヒーローを仕事として描いた『タイガー&バニー』
ヒーロー養成学校の青春を描く『僕のヒーローアカデミア』
等々、「ヒーローがいる社会」を描いた作品は沢山あるものの、
この作品は一味違います。

そんな聖典を「ほぼ」完全に映像化したのが映画版『ウォッチメン』です!!

「名前なら聞いたことある」という方も多いかもしれません。
『アベンジャーズ』インフィニティ・サーガの完結、『ワンダーウーマン』『アクアマン』や『ジョーカー』といったDCコミックスの単独映画の盛り上がり。
成熟し今後益々発展する「アメコミヒーロー映画」の新たな視点として、是非とも一度ご視聴を!

観たことある方も、この機に!
もう一度映画版『ウォッチメン』を観よう!!
そして原作版『ウォッチメン』を読もう!!

本記事では、映画版を紹介しつつ原作やドラマ版の頭をちょっと触れていきます。

■あらすじ

『誰が見張りを見張るのか』

舞台は1980年代。
現実世界に存在するスーパーヒーロー達の存在により、アメリカはベトナム戦争に勝利し、リチャード・ニクソンが三期目の大統領を務める世界。米ソ冷戦の真っただ中、
ヒーロー活動を規制する法律「キーン条例」により、かつてのスーパーヒーロー達の多くは引退していた。

ある夜、エドワード・ブレイクという男が殺害される。
警察は解決を諦めたものの、非合法な自警活動を継続していたかつてのヒーロー「ロールシャッハ」は、ブレイクが政府から認可されエージェントとして活動していたヒーロー「コメディアン」だということを知る。

何者かがヒーローを殺している。
ロールシャッハは、かつての仲間達に警告に向かう。

引退して冴えない生活を送る「ナイトオウル」
超人的能力により人間性を失いつつある「Dr.マンハッタン」
マンハッタンの恋人「シルクスペクター」
実業家として成功した「オジマンディアス」・・・

かつてのヒーロー達を巻き込む、壮大な計画が進行していた―

みどころ

最高のオープニング

ホンマこれに尽きると言っても過言ではありません。
この作品、本当にオープニングが素晴らしい!!

オープニングソングは ボブ・ディランの『The Times They Are A-Changin’(時代は変わる)』
漫画『ワンピース』572話のサブタイトルに尾田先生が引用したあの曲です。

あの名曲に載せて、この作品のバックボーンが非常に分かりやすく印象深く描かれているのです。

・悪党退治で活躍するヒーロー達
・チームを結成するヒーロー
・少しずつ変化する歴史
   第二次世界大戦、爆撃機に描かれるヒーロー
   終戦に喜ぶ群衆の中、ナースに口づけするのは水夫ではなくヒーロー
  アンディ・ウォーホールがヒーローを描く 等々・・・
・ヒーローの衰退
  強盗に敗北する者
  精神を病み病院に連れていかれる者 等々・・・
・進行する米ソ間の緊張

これらの、「知っておかないと作品を十分に楽しめない重要な背景」を全部綺麗に見せてくれる、 まさに最高のオープニング!!
1つ1つの映像は短くても印象的で、「これは名作だ!」という匂いをひしひしと感じます。

原作をほぼ完全再現

「ほぼ」と表したのは、知っている人は知っている!
原作の重要なシーンがカットされていたり、
原作の「超重要な部分」が改変されていたりするのです・・・
原作ファンがこの作品をこき下ろすポイントでもありますね

ただ、1つの映画作品としてはこの改変も十分アリ!
全12編にも及ぶ壮大なヒーロー譚を1作の映画に落とし込んだ傑作です。

これまたエンディングの入りも最高!
「マイ・ケミカル・ロマンス」の歌うエンディングテーマ『Desolation Row』(これまたボブ・ディランの名曲をカバーしたもの)がまたいい味出してるんですよ!

『My Chemical Romance』大好きだったのですが、解散してしまったのは本当に残念です。と思いきや2019年10月に再結成!!!今後の活躍に期待です。
ちなみにボーカルのジェラルド・ウェイはコミックアーティストでもあり、『スパイダーバース』原作の一編を描いたりしてます。なんなんだよこいつ!

映画を観たら原作を読もう

映画を観たら原作も読もう!!

原作コミックの発表は1986~7年!僕のようなにわかアメコミファンからすれば最早「古典」です。
漫画のアカデミー賞ことアイズナー賞を受賞、SF・ファンタジーの権威ヒューゴー賞特別部門にも選ばれるなど、世界が認めた名作中の名作!

数年前に、その前日譚を描いた『ビフォア・ザ・ウォッチメン』シリーズも出ていましたね。こちらは個々のヒーローに焦点を当てた短編。毎話アーティストも違い、なんというか「無難な大人アメコミ」といった印象でした。途中までしか読んでないけど。

さあ、ドラマを観るぞッ!!

そしてドラマですよ!!
こちらは何といっても原作の続編!!
舞台を現代に移して、人種問題を切り口に世界を描くようです。

暴動の被害を防ぐためにマスクをした警察達
人種差別集団「第七機兵隊」
郊外に住む謎の老人(予告トレーラーを見る限り、どう考えてもアイツ)
空から降り注ぐ「アレ」
そして、象徴的に描かれる「白と黒」・・・

こいつは名作の予感ですよ・・・!!
前述したウォッチメンの前日譚コミックが発表された際、
原作者のアラン・ムーアは
「未だに私が25年前に描いた作品に依存してるなんて
こんなことをしてるからコミックが文学と同じステージに立てないのだ」なんてことを言ったらしいですが、
彼にガッカリされないような作品になることを願っています。

映画版からこちらに入っても十分理解はできるとは思いますが、やっぱり原作と映画版で決定的に違う「重要な部分」の影響は出てるので、原作を読む、、、あるいはその改変部だけでも知ったうえで観ることをオススメします!

現在、AmazonPrimeVireoにて第一話が無料公開中!!!
第二話以降は2月以降に配信されていくようです。
また生きる理由ができてしまったな!!

とりあえず落ち着いてホラー映画観ます