こんにちは。米宮稲穂です。
極度のビビリですがホラー映画が大好きで、作業中もホラー映画をBGM、休憩中もホラー映画を鑑賞。なホラー漬けの毎日です。

それだけ観てれば当然が生まれるもので、語り出したら止まりません。
今まで特に語る場が無かったのですが、ここで思う存分語っていいぞとのことなのでちょっと語らせてください。
今回(シリーズ化するかは分からないけど)おススメするのは
白石晃士監督作品『カルト』!!
三浦涼介 ・・・というかアンクも出ているので特撮ファンにもおススメです。

好きなんです。白石監督。サインも2つ持ってます。
ドキュメンタリーホラーを作らせたら右に出るものはいないけど、
白石監督が作ったドキュメンタリーホラーはドキュメンタリーじゃなくなっちゃうんです。
何言ってるか分かんないと思うけどホントなんです。
今回は『カルト』の魅力を紹介しつつ白石監督のスゴさにも触れていきますよ。

■■あらすじ

映画『カルト』予告編

心霊番組のレポーターを務めることになったタレントのあびる優、岩佐真悠子、入来茉里の3人は、霊能者同行のもと、母・朋絵と娘・美保の二人暮らしで霊現象に悩む金田家を訪れる。
霊能者の雲水は除霊を試みるが、それに反発するように様々な怪現象が起きてしまい・・・

というのが、映画『カルト』のあらすじです。
レポーターの3人が実名で登場している所から「ドキュメンタリーです!」という気概を感じます。

■■みどころ

●「モキュメンタリー」の枠を軽々超える超展開

序盤は、あらすじの通りのうさん臭いホラー番組。
という「モキュメンタリー」(ドキュメンタリー風のフィクション)の
体を取っています。

編集されたホラー映像を使いつつも「これは視聴者から送られてきた
実際の映像です」と謳い続ける『ほんとにあった!呪いのビデオ』みたいな感じですね。

しかし、「雲水」なる霊媒師が登場し、除霊を始める辺りから雰囲気が一変。
バリバリ霊現象が起き初め、呪いらしきものによって死人も出ます。

更には、白石晃士映画史上、もといJホラー映画史上最強の力を持つ
「ネオ(自称)」なる謎の霊能力者の登場で、ドキュメンタリーの域を
著しく逸脱する展開になっていきます。

● ホラーのタブーをぶっ飛ばす霊能力者

ドキュメンタリーという体をとりながらも
映画は霊能力者「 ネオ (自称)」による霊能力バトルへと発展していきます。

あらゆる呪術を見抜き、呪詛返しで無効化し、更には「異界の力」を直接使役するぶっきらぼうな霊能力者。
ライトノベルの主人公みたいな霊能力者がホラー映画に出てきてしまうからもう大変。

「ホラー映画」は主人公達が制御不能で正体不明な何かから
襲われるから恐いのであって、相手より強い奴が
出てきてしまったら駄目なんです。
恐くないから。

演じるのが『仮面ライダーオーズ』で「アンク」を演じた三浦涼介というのも
よりホラー感をぶっ飛ばしています。 ネオ のキャラがまんまアンクだもの。

● まさかの少年漫画展開

ネオ の登場により、前半のホラー展開から一変。
謎の組織と ネオ による、少年漫画的な異界の力を使った呪術バトル展開に突入します。
徐々に判明する依頼人の秘密や、謎の敵との対決を経て、
「マジかよ!」と叫びたくなるような少年漫画的ラストシーンで映画は幕を閉じます。
展開の衝撃度的には『妖怪大戦争』並かもしれません。爆発はしないけど。

● それでもしっかりホラーしてる

とまあトンデモ展開の連続みたいな書き方をしましたが、恐いシーンはしっかり恐く作ってあるのが 白石監督の腕の凄い所。

  • 正気を失った少女が階段を駆け上るシーン
  • 霊能力者が力及ばず謎の存在に取り殺されるシーン
  • 奇妙に動く”何か”が召喚されるシーン・・・

「画的な不気味さ」や「展開の不気味さ」が映画の中に しっかりと散りばめられているため、
ホラー映画としてもしっかり見応えのあるものになっているのです。

突飛な設定・展開を突き付けながらも、 画や展開の不気味さでしっかり恐怖を与えてくれるのは日本には白石監督しかいないのでは。

海外の映画監督でいえば『ヘレディタリー 継承』のアリ・アスター監督、
『ゲット・アウト』『アス』のジョーダン・ピール監督らが似ているでしょうか。

シュールかと思わせての200%恐怖
彼女の実家なんて二度と行かねえ

映画『カルト』は「なんか笑えるけど恐い」「恐いけどなんか笑える」という不思議な領域に達している映画なのです。

■■白石晃士監督がJホラーに与えた影響

いかがでしたでしょうか。映画『カルト』
とにかく怖くて面白いのです。

本作以降、「怪奇と戦う人物達を描く」というエンターテイメント性を重視したホラーを
作るようになった白石晃士監督は、のちに『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズや
『貞子vs伽椰子』を生み出します。
(個人的な推察ですが)『コワすぎ!』シリーズの影響はJホラー、特に投稿映像系ホラーへ
大きな影響を与えたと思っています。『コワすぎ!』以前、以降で分けても良い程に。

『コワすぎ!』の衝撃はあまりにも大きすぎました

かつてのJホラーは、「貞子」「伽椰子」が独り歩きしてしまうほど「化け物」にキャラクター性を置いていました。
映画『リング』シリーズでは、登場人物達は「貞子」の恐怖に翻弄する一般人に過ぎないし(霊能力者みたいなのも出てはくるけど、犠牲者の域を出ません)、
『呪怨』シリーズでも、登場人物たちは皆等しく「伽椰子」や「俊雄」の犠牲になるだけです。
多少のドラマはあるにせよ、「餌」という舞台装置でしかないのです。

しかし、近年はドキュメンタリーの体をとりながらも、クセの強いキャラクターやキャラの立つレポーター・スタッフが目立つように感じます。

最近の映画では『来る(原題『ぼぎわんが、来る』)』の比嘉姉妹が印象的でしょうか。
投稿映像系ホラーでは、『心霊玉手匣』の美少女JK霊能力者「モロちゃん」や
『ほんとうに映った!監死カメラ』シリーズに出てくる数々のうさん臭い霊能力者達。などなど。
また、『心霊 ~パンデミック~』の「徳丸」「金井」コンビや
『ほんとうに映った!監死カメラ』の「金田」
『封印映像』シリーズの顔となりつつあるレポーター「田中」など、
いちリポーター、スタッフにも「キャラ立ち」の傾向が見て取れる。

そういう「化物じゃない側のキャラ立ち」は、『コワすぎ!』以降爆発的に増えたように思えます。
そう考えると、『コワすぎ!』シリーズの前身となった映画『カルト』は、 正に今のJホラーを作った原点ともいえる作品なのではないでしょうか!?

■■『カルト』観よう

話が膨らみ過ぎましたが、とにかく『カルト』面白いです。
・・・白石監督作品は「人を選ぶ」ので、万人ウケする作品というわけではないのですが、
ホラー映画ってそもそも万人ウケするものじゃないからね。

エンタメ性ばっちり、怖さもばっちり、最高のホラー映画の一本です。
ネットフリックスで視聴できるので、是非ともこの機会にご視聴ください。

それでは。